原油相場とガソリン、灯油 (2010年)


マーケット情報
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■ 「市況研究社日報」(石油)要旨

 

9月8日(水曜日) 原油の続伸(WTI期近は独歩安)
「市況研究社日報」(石油)第1797号
≪原油相場の続伸
(1)本年の調整安の底

当社では、原油相場について「本年
525日安値」が<底の基本>とお伝えしました。各市場を包括的に眺(なが)めた場合には「7月上旬安値」が<全体観の底値>という認識です。本年(2010年)は、世界経済と世界市場の「並外れた変革期」となっているため、<新たな市場基準>への<移行期>でもあります。「落ち目の勢力」は、旧来の秩序と価値観に固執している。
(2)新旧の摩擦と緊張の中で原油相場は続伸
これに対して、新しい方向の基準を早く見出した者が勝ちです。だから、シビレルような相場になっています。旧来の秩序と価値観に固執する向きは、今朝も「原油相場の下落」と伝えている。しかし、国際原油取引は下落などしておらず、上昇を続けています。
(3)今朝のロンドン
ICEブレント
     始値  高値  安値  帳入値  前日比
10月限  77.09  78.32  75.56  77.74  +0.87
11月限  76.83  78.44  75.71  77.87  +0.83
12月限  77.30  78.91  76.23  78.39  +0.83
1月限  77.87  79.47  76.85  78.96  +0.85
2月限  78.44  80.00  77.42  79.56  +0.89
3月限  79.00  80.19  77.99  80.13  +0.90

≪ニューヨーク原油(WTI)期近の独歩安について
米欧のバブル崩壊後、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化し、世界経済の成長ダイナミクスは、中国とアジア新興国にシフトしている。米国経済の弱体化と共に、北米市場のマーカー原油である
WTIの指標性も低下しており、米国市場の投資資金を反映するローカル原油に落ちぶれてしまった。
(1)サウジアラビアは、
20101月積みから米国向け輸出価格(FOB)のプライシングについて、英Argus Mediaの「Argus Sour Crude Index (ASCI)」=メキシコ湾で生産される「Mars」「Poseidon」「Southern Green Canyon (SGC)」の3油種の取引加重平均値を基準にしている。
(2)ニューヨーク
WTI(軽質スウィート)は、中東原油の中質サワー油種よりも下ザヤにある。ニューヨークWTI期近の独歩安は、受渡地点である米国中西部のオクラホマ州「クッシング在庫」の増減とも相関しておらず、米国金融市場の投資資金の動きを反映していると考えています。つまり、JPモルガンやゴールドマンなど投資銀行の自己勘定商品取引部門の閉鎖等と関連しているのではないかと推測しています。
≪本日98日(水曜日)の中東原油=+400円高
(1)国際原油取引の基準は
ICEブレント11月限
(2)為替は「
1ドル=83.80円」で計算
(3)前日帳入値段から「+
400円高」
(4)前場寄り付き前の目安
東京原油 09月限  $75.05  39,550 /KL  
東京原油 10月限  $75.60  39,840 /KL  +270
東京原油 11月限  $76.10  40,110 /KL  +240
東京原油 12月限  $76.60  40,370 /KL  +420
東京原油 01月限  $77.10  40,640 /KL  +440
東京原油 02月限  $77.60  40,900 /KL  +390

≪購入原油価格(FOB)と「輸入CIF価格」(当社予想)
(1)わが国石油会社の購入原油価格の予想
(@)プラッツ価格と若干の違いがあります。
(A)為替は東京仲値(三菱東京UFJ銀行)
(B)あくまで当社の便宜的な算定値です。
(C)タンカー運賃低迷で、遡って修正を加えています。
(D)前日のシンガポール終値時点からは「+
450円高」
(2)原油
CIFの目安
中東原油のFOB価格  為替    原油CIF価格(予想)
≪国際原油取引の指標=ICEブレント11月限
   始値  高値  安値  終値  前日比
9/07 76.83 78.44 75.71 77.87 +0.83
9/06 76.50 77.41 76.45 77.04 +0.08
9/03 77.00 77.72 75.56 76.96 −0.25
9/02 76.50 77.40 75.56 77.21 +0.49
9/01 74.76 77.14 74.75 76.72 +1.74
8/31 76.60 77.13 74.57 74.98 −2.01
8/30 77.23 77.41 76.34 76.99 −0.02
8/27 75.01 77.30 74.77 77.01 +1.60
8/26 74.10 75.95 73.82 75.41 +1.48
8/25 72.92 74.36 72.22 73.93 +1.02
8/24 73.81 74.07 72.67 72.91 −1.20
8/23 75.00 75.38 73.75 74.11 −0.64
8/20 75.75 76.25 74.46 74.75 −1.00
8/19 76.91 77.62 75.46 75.75 −1.24
8/18 77.28 77.37 75.82 76.99 −0.46
8/17 75.97 78.22 75.97 77.45 +1.29
8/16 75.72 76.15 75.00 75.63 +0.11
8/13 76.60 77.33 75.63 76.06 −0.41
8/12 78.26 78.62 76.19 76.47 −2.25
8/11 80.66 80.70 78.14 78.72 −2.01
8/10 82.13 82.15 79.63 80.73 −1.30
8/09 81.47 82.25 81.33 82.03 +0.82
8/06 82.42 83.00 80.62 81.21 −1.29
8/05 83.07 83.07 81.89 82.50 −0.50
8/04 83.00 83.61 82.32 83.00 −0.22
8/03 81.75 83.22 81.28 83.22 +1.65
8/02 79.25 81.89 79.11 81.57 +2.52
7/30 78.26 79.18 76.97 79.05 +0.61
7/29 76.93 78.92 76.51 78.44 +1.31
7/28 77.12 77.41 76.11 77.13 −0.08
7/27 78.54 79.24 76.54 77.21 −1.38
7/26 78.41 78.92 77.70 78.59 +0.08
7/23 78.75 79.18 77.99 78.51 −0.39
7/22 76.45 79.00 76.10 78.90 +2.46
7/21 77.22 78.15 76.22 76.44 −0.74
7/20 76.69 77.48 75.78 77.18 +0.48
7/19 76.32 78.18 75.93 76.70 +0.34
7/16 77.04 77.30 75.65 76.36 −0.63
7/15 77.00 78.07 76.00 76.99 −0.48
7/14 77.56 78.31 76.95 77.47 −0.06
7/13 75.50 77.72 74.59 77.53 +2.20
7/12 76.63 76.79 75.00 75.33 −1.30
7/09 76.38 77.04 75.90 76.63 +0.41
7/08 75.59 76.65 75.18 76.22 +1.32
7/07 73.06 75.67 72.37 74.90 +2.02 ┓
7/06 72.48 74.55 72.05 72.88 +0.14 ┃ 7月上旬安値
7/05 73.27 73.27 72.30 72.74 −0.01 ┃全体観の「調整安の底」
7/02 74.00 74.00 72.40 72.75 −0.78 ┃
7/01 75.38 75.54 72.79 73.53 −2.64 ┛


9月7日(火曜日) ロシア「エスポ(ESPO)」原油とサウジOSPs
「市況研究社日報」(石油)第1796号
≪今朝の原油相場=ロンドンとニューヨークの価格差
      ロンドン      ニューヨーク
      ICE       NYMEX
      ブレント      WTI       価格差
10月限   76.87 +0.20   74.09 -0.51    ▲2.78
11月限   77.04 +0.08   75.63 -0.34    ▲1.41
12月限   77.56 +0.03   77.02 -0.27    ▲0.54
1月限   78.11  unch   78.02 -0.23    ▲0.09
2月限   78.67 -0.01   78.83 -0.21    +0.16
3月限   79.23 -0.01   79.48 -0.21    +0.25
4月限   79.78 -0.04   79.96 -0.20    +0.18
5月限   80.28 -0.07   80.36 -0.21    +0.08

(1)
WTI期近の独歩安
米欧のバブル崩壊後、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化し、世界経済の成長ダイナミクスは、中国とアジア新興国にシフトしている。米国経済の弱体化と共に、北米市場のマーカー原油である
WTIの指標性も低下しており、米国市場の投資資金を反映するローカル原油に落ちぶれてしまった。
(@)サウジアラビアは、
20101月積みから米国向け輸出価格(FOB)のプライシングについて、英Argus Mediaの「Argus Sour Crude Index (ASCI)」=メキシコ湾で生産される「Mars」「Poseidon」「Southern Green Canyon (SGC)」の3油種の取引加重平均値を基準にしている。ニューヨークWTI(軽質スウィート)は、中東原油の中質サワー油種よりも下ザヤにある。
(A)ニューヨーク
WTI期近の独歩安は、Nymexの受渡地点である米国中西部のオクラホマ州「クッシング在庫」の増減とも相関しておらず、米国金融市場の投資資金の動きを反映していると考えています。つまり、JPモルガンやゴールドマンなど投資銀行の自己勘定商品取引部門の閉鎖等と関連しているのではないかと推測しています。
(B)中東原油のアジア向け輸出価格(
FOB)は、オマーン及びドバイのスポット価格の1カ月間の平均値を基準にし、そのオマーン及びドバイのスポット価格は「ICEブレント」との価格差を指標にしています。国際原油取引はICEブレントを指標にしているため、WTI期近の独歩安に追従することはありません。
(2)
ICEブレントと「中東原油のスポット価格」
ニューヨーク原油(
WTI)期近10月限が「73ドル台」に下落しても、中東原油が同じように下げるわけではない。ロンドンICEブレント10月限が「76.87」、同11月限が「77.04」であれば、中東のオマーン原油スポット価格の目安は「74.5074.70」あたり、ドバイ原油では「74.3074.50」あたりになる。ただ、ニューヨーク原油(WTI)期近が独歩安に下げているため、かなり控え目な想定値を目安にします。
≪本日97日(火曜日)の中東原油について
(1)本日の中東原油について
(@)国際原油取引の基準は
ICEブレント11月限
(A)為替は「
1ドル=84.18円」で計算
(B)前日帳入値段から「-
200円安」
(C)本日前場寄り付き前の目安
東京原油 09月限  $74.00  39,180 /KL
東京原油 10月限  $74.55  39,470 /KL  -140
東京原油 11月限  $75.05  39,730 /KL  -340
東京原油 12月限  $75.55  40,000 /KL  -190
東京原油 01月限  $76.05  40,260 /KL  -190
東京原油 02月限  $76.50  40,500 /KL  -230

(2)購入原油価格(
FOB)と「輸入CIF価格」(当社予想)
(@)わが国石油会社の購入原油価格の予想
(A)原油
CIFの目安
≪東アジアの原油市場==ロシア「エスポ(ESPO)ブレンド」の台頭
ニューヨーク原油(
WTI)期近10月限が「74ドル以下」であっても、わが国石油会社が「WTI」を買うわけではない。WTIが輸出されるわけでもない。なにより米欧のバブル崩壊後、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化すると共にWTIの指標性が低下している。WTIに偏重した市場人気は、いずれ年月の経過につれて淘汰されると思います。
(1)われわれが注目しなければならないこと
われわれが本年の「東アジアの原油市場」で注目しなければならないことは、ロシアの「エスポ(
ESPO)ブレンド」原油が、その供給量と地位を確立し、中東産軽質油種の競争相手として台頭していること。「サウジアラビア」や「アラブ首長国連邦」などの東アジア向け販売政策を見たとき、ロシアの「エスポ(ESPO)原油」との競争を強く意識し、軽質油種の価格(Official Selling Prices)を抑えている。
(2)ロシアの台頭=わが国の「国別」原油輸入量
わが国貿易統計によれば、
7月の原油輸入量は約「1,763万KL」、その内、ロシアが「国別」第5位となった。
426万KL」はサウジアラビア
372万KL」はアラブ首長国連邦
227万KL」はイラン
211万KL」はカタール
154万KL」はロシアからであった。
(3)「国別」「油種別」輸入量
(@)サウジ原油「426万KL」の油種ごと内訳
アラブ・エキストラ・ライト  193万0,126KL ☆
アラブ・ライト        157万8,884KL ☆
アラブ・ヘビー         45万9,906KL
アラブ・ミディアム       29万2,496KL
アラブ・スーパー・ライト        0KL

(A)アラブ首長国連邦「372万KL」の内訳
マーバン           145万3,451KL ☆
アッパー・ザクム       119万9,201KL ☆
ウムシャイフ          51万3,052KL
ロア・ザクム          39万6,763KL

(B)イラン原油「227万KL」の場合
イラニアン・ヘビー      106万4,221KL ☆
フォローザンブレンド      50万9,065KL
イラニアン・ライト       19万8,524KL

(C)ロシア原油「154万KL」の主な内訳
エスポ・ブレンド        70万7,900KL ★
ソコール            40万2,739KL

(4)ロシア「エスポ(
ESPO)ブレンド」原油
本年(
2010年)の東アジアの原油市場で注目しなければならないのはロシアの「エスポ(ESPO)ブレンド原油=軽質スィート」が、中東原油の競争相手として台頭したこと。ロシアの「エスポ(ESPO)原油」は、7月の輸入量で「707,900KL」で、中東原油と比較すれば「少ない」ように見えるが、中東産軽質油種の競争相手として見た場合には、十分な地位を確立している。ロシア原油は「国別」輸入量でも第5位を占めるようになった。東シベリア太平洋(ESPO)原油パイプライン第1期工事の終点であるSkovorodinoからシベリア鉄道でKozmino港に向けて出荷される原油は1日平均720貨車に達し、今後も増加する見込み。中国向けには、Transneftが現在建設中のSkovorodinoからESPO支線による直接供給が20111月に始まる。ロシアKozmino港から日本や韓国まで約600km、タンカーで3日の航路であるため、仮に「エスポ・ブレンド」の輸出価格(FOB)が「ドバイ+$0.75」であっても輸送費の安さで優位に立つことができる。本年6月以降の原油相場で、サウジアラビアの「エキストラ・ライト」やアラブ首長国連邦の「マーバン」などの調整項が予想以上に引き下げられたのは、販売政策の上で、ロシアの「エスポ(ESPO)原油」との競争を意識したもの。東アジアの原油市場は、ロシアの「エスポ(ESPO)原油」によって変化しており、市場に変化が起きているときは、それを認識しておかなければならない。
≪サウジ原油10月積み(ターム)の調整項
サウジアラビアの「日本向け輸出価格」(本船渡し、
FOB)は、オマーン及びドバイのスポット価格の1カ月間の平均値を基準にして、「調整項」を加減して決める。本年6月以降のサウジアラビアの販売政策では、ロシアの「エスポ(ESPO)ブレンド」原油との競争を念頭に置いて「調整項」を引き下げてきた。昨日96日には「10月積みの調整項」が通知されたので、本年のサウジ原油輸出価格の推移を下に記します。
(1)サウジ原油の各油種の輸出価格(本船渡し)
            ┏━━ 各油種の調整項(OSPs)━━┓
   オマーン及びドバ エキストラ・ アラブ・   アラブ
   イの月間の平均値 ライト    ライト    ヘビー
10月          +0.30    −0.50    −3.35
9月          +0.20    −0.65    −3.40
8月   74.229    +0.80    −0.15    −3.00
7月   72.529    +0.65    −0.20    −2.95
6月   74.082    +1.35    +0.20    −2.90
5月   76.910    +1.15    −0.10    −2.90
4月   83.630    +0.55    −0.45    −2.50
3月   77.516    +0.70    −0.15    −1.65
2月   73.698    +0.90    +0.10    −1.65
1月   76.850    +1.25    +0.45    −1.25

(2)表の見方
先月
8月積みのアラブ・エキストラ・ライトの輸出価格(FOB)は、オマーン及びドバイのスポット価格の「8月平均値」(74.229ドル)+0.80ドル=$75.029で確定した。今月9月積みのアラブ・エキストラ・ライトの輸出価格(FOB)は、9月一カ月間のオマーン及びドバイのスポット価格の平均値+0.20ドル、来月10月積みでは10月一カ月間のオマーン及びドバイのスポット価格の平均値+0.30ドル。10月積みタームのOSPs(調整項)は、歴史的な安値水準まで大幅に引き下げた9月積みと比較すれば小幅に引き上げたが、市場の事前予想を下回るものであった。サウジアラビアの東アジア向け販売政策は、ロシアの「エスポ(ESPO)」原油との競争を意識している。
(3)サウジ原油
10月積みのアジア向け輸出価格
オマーン及びドバイのスポット価格の平均値に対する「調整項」
               10月   9月   9月比
アラブ・スーパー・ライト  +1.00  +0.25  +0.75
アラブ・エキストラ・ライト +0.30  +0.20  +0.10
アラブ・ライト       -0.50  -0.65  +0.15
アラブ・ミディアム     -2.05  -2.15  +0.10
アラブ・ヘビー       -3.35  -3.40  +0.05


9月6日(月曜日) 米欧バブルの崩壊と現状について
「市況研究社日報」(石油)第1795号
≪現状の「最も根本的なこと」について
(A)株価や不動産価格は常に上昇するものではない。
(B)バブル崩壊後の
23年では、すべては明らかにならない。
こんな簡単なことであっても、それを「思慮、分別の常識」として身につけるまでには年数を要する。バブル崩壊後は、「バブル期に適合していた常識」が通用しなくなる。日本では経験として分かっていることで、当たり前のこととして認識しているが、米欧市場では「当たり前」のことに直面して、それを「悲観人気」の手掛かりにしている。われわれにとっては「当たり前」ことであっても、「米国人は今、住宅価格が常に上昇するものではなく、
23年で、3050%下落するものであることを知った」ところだ。
≪日本の経験
(1)日本のバブルが崩壊したのが「
1990年」(平成2年)で、野村證券や日興、山一、大和などによる大口顧客の損失補填(そんしつほてん)が発覚したのが「1991年」(平成3年)6月であった。バブル崩壊後の「社会的な気分」としては、(@)日本経済のファンダメンタルズの強さは「世界一」であって、(A)バブル崩壊は過熱感の「一時的調整」にすぎず、(B)社会的不正儀の是正という点では「好ましい調整」とみなす空気が強かった。つまり、「バブルの崩壊」は、日本経済の「一時的調整」であって、バブル期に横行した「社会的不公正や不正儀の是正」という点では「好ましい」とみなす空気が大手メディアを中心に根強かった。政府・日銀も、日本経済のファンダメンタルズに影響を及ぼすものではないと強調していた。日本経済は「1990年」(平成2年)にバブルが崩壊したが、直ちに、何が起きているのか、先行きどういったことが発生しうるのか、どこに向かって進行しているのか、適確な判断ができたわけではなかった。1967年に大蔵省入省、19992003年に財務官についた黒田東彦氏は、退官後の2004年に「日本経済が、今後、世界経済のなかで急速に成長を遂げていくといったようなことはありそうもない。中国の成長率は高く、そのうち日本を上回るのは確実だろう」と述べたが、それはバブル崩壊から14年が経過したあとであった。
(2)頭の中で「株や不動産が常に上昇するものではない」ことは分かっていても、世の中のコンセンサスとして株価や不動産価格の下落を<受け入れる>までには年数を要する。バブル崩壊後のバランスシート調整では、調整したと思っても、その後の下落で再びバランスシートの修正を迫られる。このためバブル経済に「適合した企業」であるほど、バブル崩壊後の新しい環境には「適合できない」ことが明らかになった。もし、米国市場の投資人気が昨秋から本年
4月にかけて、「バブル崩壊後の23年で、住宅と商業不動産の下落に歯止めをかけ、すべての問題を解明して出口政策に移行する」と思惑していたのであれば、それはそもそも不可能なことであって、その結果、「楽観」から「悲観」へと市場人気が振幅している。622日以降の米国市場の「デフレ期待」は、悲観人気を反映している。
≪米国のバブル崩壊
米国では、住宅購入能力のない低所得者にまで住宅ローンを組ませて、不動産と信用のバブルを膨らませた。
2007年春にサブプライム信用バブルがハジけて、20089月のリーマン破綻で国際的信用危機に拡大した。米国バブル崩壊から今年で3年、リーマン破綻から2年が過ぎる。しかし、23年ですべての問題が明らかになるわけではない。実際、先々週の827日に、米国の資産運用会社のトップが「米国人は今、住宅価格が常に上昇するものではなく、23年で、3050%下落するものであることを知った」と述べた。
(1)わが国でも、不動産価格の下落をバランスシート調整で「認識」していくには、相応の厳しい過程を必要とした。米欧市場では、日本政府と日銀が「木偶(でく)の坊(ぼう)」だったから、「失われた
10年、20年の年数がかかった」との見方が根強いが、実際は日本でも米欧でも、バブル崩壊後の「新しい環境」への適合には年数を必要とする。バブル期の成功が大きければ大きいほど、バブル崩壊後の適合に時間がかかる。
(2)日銀の白川総裁は
830日の記者会見で以下のように述べた。「大きな信用バブルが崩壊した後の経済の回復の姿について日本経済を例にみると、時間がかかりますし、少し良くなったといっても、それがまた後退するということを何度となく経験しました。結局、米国経済の抱えている不均衡、これは家計部門のバランスシートの問題もそうですが、この不均衡の大きさがどの程度かということについて、まだ明確にはわかっていないわけです。もちろん、事後的にはある程度わかるわけですが、そうしたことに関する不確実性がそもそもあるわけで、これは長い目でみた場合の不確実性です。それだけに、私どもとしては、ある特定のシナリオに固執するということではなく、経済データに即して点検していく姿勢が大事だと思っています。その意味で下振れリスクにより注意するという表現を使っています。」
(3)しかも、
2003-04年以降の世界経済と世界市場は、中国とアジア新興国の成長が原動力として台頭しており、新しい世界への「移行期」=並外れた変革期になっている。米欧経済が「バブル期に適合した常識」を清算し、中国とアジア新興国に成長ダイナミクスがシフトした「新しい世界の常識」を身につけるまで、摩擦、緊張、衝突、折り合いの一連の過程を経なければならない。米欧バブル崩壊から23年ですべてが明らかになることはあり得ない。バブル期に適合した常識を清算し、新しい世界の基準を思慮、分別の常識にするまで相応の年数がかかる。われわれにとっては、「当たり前」のことであっても、「米国人は今、住宅価格が常に上昇するものではなく、23年で、3050%下落するものであることを知った」ところだ。
(4)
6月から7-8月の米国市場では、「当たり前」のことを「悲観人気」の手がかりにしている。622日以降は「デフレ期待」を織り込んできた。このため当社では、本年の相場の全体観として<7月が調整場面の底>になるとき、来年に向けて相場は上昇すると考えています。日銀の白川総裁は 8月の記者会見で、「新興国の上振れ、米国の下振れリスク」を強調している。米欧のバブル崩壊後、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化し、世界経済の成長ダイナミクスは、中国とアジア新興国にシフトしている。コモディティ需要を2011-15年に向けて押し上げるのは新興国の成長ダイナミクスだと考えています。
≪米国の景気先行指数
(1)米国の雇用統計

米国市場では週末
93日に「8月の雇用統計」が発表された。当社では、「米雇用統計」はその後の修正幅が大きく、これまで参考にして来なかったので、今回も無視することにします。その代わり、景気循環調査研究所(ECRI)の「週間景気先行指数」(WLI)をお伝えします。米国市場では622日以降、悲観人気の中で「デフレ期待」を織り込んでいるため、「7月が調整場面の底」になるとき、来年2011年に向けて相場は上昇する可能性が高いと考えています。ECRIの「景気先行指数」(WLI)で、7月以降の改善の手掛かりを見出すことができればよい。8月末の現状は下記の通りです。7月初めと同等水準で調整が続いている。
(2)「
ECRI」指数
(@)景気循環調査研究所(
Economic Cycle Research Institute
(A)週間景気先行指数(
Weekly Leading Index; WLI
(B)
growth=年率換算の伸び率
        Level  Growth
8/27(10)  120.6  -10.1
8/20(10)  120.9   -9.9
8/13(10)  120.7  -10.0
8/06(10)  122.0  -10.2
7/30(10)  121.4  -10.7 ◎調整の底から反発の兆し
7/23(10)  120.7  -11.0 ┓
7/16(10)  120.4  -10.7 ┃懸念要素を織り込んだ
7/09(10)  120.5   -9.9 ┃<調整場面の底>
7/02(10)  120.5   -9.3 ┃
6/25(10)  121.4   -8.4 ┛
6/18(10)  122.3   -7.4
6/11(10)  122.0   -6.0
6/04(10)  122.7   -3.8
5/28(10)  123.7   0.1
5/21(10)  125.3   5.0
5/14(10)  127.0   9.0
5/07(10)  131.9   12.3
4/30(10)  134.7   12.9
4/23(10)  133.7   12.4
4/16(10)  133.0   12.5
4/09(10)  131.3   12.6
4/02(10)  131.8   13.3


9月2日(木曜日) 国際原油取引の指標について
「市況研究社日報」(石油)第1793号
≪国際原油取引の指標について
ニューヨーク原油(
Nymex-WTI)は、北米のローカル原油です。ニューヨークWTI期近を国際原油取引の指標に描くと、値頃感を誤ると思います。米国のバブル崩壊後の石油市場で、サウジアラビアはWTIを値決めの基準から外している。
(1)米国のバブル崩壊後の
WTI
世界の経済成長に占める米国の役割が弱体化したことによって国際原油取引における
WTIの指標性も低下した。世界経済の成長ダイナミクスが中国とアジア新興国にシフトし、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化すると共にWTIの指標性も低下し、北米のローカル原油に落ちぶれたと考えています。当社では、世界経済と世界市場の並外れた変革期の「原油相場」については、ICEブレントを指標にお伝えしています。
(2)
WTI期近の独歩安
先週から今週のニューヨーク原油(
Nymex-WTI)期近の独歩安は、受渡地点の「クッシング在庫」とも相関していない。クッシング在庫はピークから減少しているにもかかわらず、WTI期近10月限は下ザヤを広げた。
データ/米国の原油商業在庫(単位:バレル)
    米国原油在庫(SPRは除く) その内、クッシング在庫
8/27  3億6,170万7千 +342万5千   3,580万 -50万
8/20  3億5,828万2千 +410万8千   3,630万 -70万
8/13  3億5,417万4千 -81万8千   3,700万 -70万
8/06  3億5,499万2千 -298万8千   3,770万 -10万
7/30  3億5,798万0千 -278万4千   3,780万 +60万
7/23  3億6,076万4千 +730万8千   3,720万 +10万
7/16  3億5,345万6千 +36万0千   3,710万 +100万
7/09  3億5,309万6千 -505万8千   3,610万 +30万
7/02  3億5,815万4千 -496万1千   3,580万 -20万
6/25  3億6,311万5千 -200万7千   3,600万 -80万
6/18  3億6,512万2千 +201万7千   3,680万 -80万
6/11  3億6,310万5千 +169万0千   3,760万 +20万
6/04  3億6,141万5千 -182万9千   3,740万 -50万
5/28  3億6,324万4千 -190万2千   3,790万 +30万
5/21  3億6,514万6千 +246万0千   3,760万 -30万
5/14  3億6,268万6千 +16万2千   3,790万 +90万

(3)アジア向け中東原油の指標
中東原油のアジア向け輸出価格は、オマーン及びドバイのスポット価格を基準にしている。これらアジア市場のマーカー原油は、
ICEブレントとの価格差を指標にしている。9月相場はICEブレント11月限が指標になるため、今朝までの<ICEブレント11月限の相場表>を記します。「525日=底の基本」以降の<ICEブレント>を振り返った場合、<77ドル>が現行レンジの中心にあたる。
データ/ICEブレント11月限の相場表
   始値  高値  安値  終値  前日比
9/01 74.76 77.14 74.75 76.72 +1.74
8/31 76.60 77.13 74.57 74.98 −2.01
8/30 77.23 77.41 76.34 76.99 −0.02
8/27 75.01 77.30 74.77 77.01 +1.60
8/26 74.10 75.95 73.82 75.41 +1.48
8/25 72.92 74.36 72.22 73.93 +1.02
8/24 73.81 74.07 72.67 72.91 −1.20
8/23 75.00 75.38 73.75 74.11 −0.64
8/20 75.75 76.25 74.46 74.75 −1.00
8/19 76.91 77.62 75.46 75.75 −1.24
8/18 77.28 77.37 75.82 76.99 −0.46
8/17 75.97 78.22 75.97 77.45 +1.29
8/16 75.72 76.15 75.00 75.63 +0.11
8/13 76.60 77.33 75.63 76.06 −0.41
8/12 78.26 78.62 76.19 76.47 −2.25
8/11 80.66 80.70 78.14 78.72 −2.01
8/10 82.13 82.15 79.63 80.73 −1.30
8/09 81.47 82.25 81.33 82.03 +0.82
8/06 82.42 83.00 80.62 81.21 −1.29
8/05 83.07 83.07 81.89 82.50 −0.50
8/04 83.00 83.61 82.32 83.00 −0.22
8/03 81.75 83.22 81.28 83.22 +1.65
8/02 79.25 81.89 79.11 81.57 +2.52
7/30 78.26 79.18 76.97 79.05 +0.61
7/29 76.93 78.92 76.51 78.44 +1.31
7/28 77.12 77.41 76.11 77.13 −0.08
7/27 78.54 79.24 76.54 77.21 −1.38
7/26 78.41 78.92 77.70 78.59 +0.08
7/23 78.75 79.18 77.99 78.51 −0.39
7/22 76.45 79.00 76.10 78.90 +2.46
7/21 77.22 78.15 76.22 76.44 −0.74
7/20 76.69 77.48 75.78 77.18 +0.48
7/19 76.32 78.18 75.93 76.70 +0.34
7/16 77.04 77.30 75.65 76.36 −0.63
7/15 77.00 78.07 76.00 76.99 −0.48
7/14 77.56 78.31 76.95 77.47 −0.06
7/13 75.50 77.72 74.59 77.53 +2.20
7/12 76.63 76.79 75.00 75.33 −1.30
7/09 76.38 77.04 75.90 76.63 +0.41
7/08 75.59 76.65 75.18 76.22 +1.32
7/07 73.06 75.67 72.37 74.90 +2.02 ┓
7/06 72.48 74.55 72.05 72.88 +0.14 ┃ 7月上旬安値
7/05 73.27 73.27 72.30 72.74 −0.01 ┃全体観の「調整安の底」
7/02 74.00 74.00 72.40 72.75 −0.78 ┃
7/01 75.38 75.54 72.79 73.53 −2.64 ┛

≪本日92日前場の目安
(1)+
650円高
今朝のニューヨーク原油(
Nymex-WTI)期近10月限の終値が「$73.91」であっても、中東原油のスポット価格は「オマーン=$74.60」、「ドバイ=$74.40」あたりが目安になる。為替「1ドル=84.54円」で換算して東京原油当限9月限は「39,610/KL」、10月の輸入CIFは「40,610/KL」あたり。
(2)東京原油先限
20112月限
東京原油の先限
2月限は「$76.90」あたり、為替「1ドル=84.54円」で「40,890/KL」、前日比「+650円」高。
7月安値=「全体観の調整安の底値」
(1)国際的な物流の指標=海運(ばら積み船)
当社では、原油相場について「本年
525日安値」が<底の基本>とお伝えしました。包括的に各市場を眺(なが)めた場合には、「7月安値」が<全体観の底値>という認識です。
(2)データ/傭船市況=主要
4航路平均の傭船料(単位:1日あたり米ドル)
     ケープサイズ パナマックス L.ハンディマックス
      172型      74型      55型
9月01日  35,932ドル   23,757ドル   21,213ドル
8月31日  34,488ドル   23,712ドル   21,601ドル
8月27日  33,745ドル   23,935ドル   22,054ドル
8月26日  32,942ドル   24,309ドル   22,151ドル
8月25日  34,609ドル   24,809ドル   22,392ドル
8月24日  37,607ドル   25,141ドル   22,238ドル
8月23日  37,321ドル   25,097ドル   21,976ドル
8月20日  34,913ドル   24,830ドル   21,710ドル
8月19日  32,066ドル   24,365ドル   21,272ドル
8月18日  30,344ドル   23,859ドル   20,623ドル
8月17日  30,084ドル   23,460ドル   19,946ドル
8月16日  29,945ドル   23,166ドル   19,592ドル
8月13日  29,956ドル   23,013ドル   19,147ドル
8月12日  29,878ドル   22,723ドル   18,680ドル
8月11日  29,022ドル   22,077ドル   18,295ドル
8月10日  24,153ドル   21,411ドル   18,076ドル
8月09日  21,298ドル   20,936ドル   18,009ドル
8月06日  18,422ドル   20,733ドル   18,096ドル
8月05日  16,596ドル   20,621ドル   18,130ドル
8月04日  15,369ドル   20,947ドル   18,174ドル
8月03日  14,910ドル   21,416ドル   18,293ドル
8月02日  15,062ドル   21,515ドル   18,366ドル
7月30日  14,965ドル   21,155ドル   18,401ドル
7月29日  14,443ドル   20,752ドル   18,450ドル
7月28日  13,579ドル   20,138ドル   18,525ドル
7月27日  13,018ドル   19,673ドル   18,551ドル
7月26日  12,643ドル   19,324ドル   18,409ドル
7月23日  12,755ドル   18,997ドル   18,250ドル
7月22日  12,863ドル   18,397ドル   18,017ドル
7月21日  13,266ドル   17,761ドル   17,688ドル
7月20日  13,336ドル   17,366ドル   17,470ドル
7月19日  12,793ドル   17,081ドル   17,402ドル
7月16日  12,495ドル   16,839ドル   17,448ドル
7月15日  12,073ドル   16,331ドル   17,595ドル
7月14日  12,278ドル   15,941ドル   17,950ドル
7月13日  14,722ドル   15,680ドル   18,406ドル
7月12日  15,997ドル   15,648ドル   18,702ドル
7月09日  17,643ドル   15,679ドル   18,999ドル
7月08日  18,185ドル   16,004ドル   19,275ドル
7月07日  19,652ドル   16,784ドル   19,556ドル


9月1日(水曜日) 中国ファンダメンタルズの健全さ
「市況研究社日報」(石油)第1792号
≪国際原油取引の指標について
(1)
Nymex-WTI期近=$71.92
今朝の米国市場では国債相場が反騰(=利回りは低下)し、原油が売られたために、ニューヨーク原油(
Nymex WTI)期近10月限は「$71.92」(前日比-2ドル78セント安)に下げた。
      ロンドン   ニューヨーク
      ICEブレント Nymex WTI   価格差
10月限    74.64    71.92    ▲2.72
11月限    74.98    73.54    ▲1.44
12月限    75.58    75.10    ▲0.48
1月限    76.20    76.19    ▲0.01
2月限    76.79    77.05    +0.26
3月限    77.40    77.68    +0.28
4月限    77.99    78.14    +0.15

(2)中東のスポット価格は
WTIほど下げない
ニューヨーク原油(
Nymex-WTI)期近10月限 が「$71.92」に下げても、中東原油のアジア向け輸出価格の基準となるドバイやオマーンのスポット価格が大幅安に急落するわけではない。ドバイやオマーンのスポット価格は「$72.80$72.90」以上で推移する公算が大きい。なぜなら、中東原油の指標となるロンドンICEブレントでは期近10月限「$74.64」、同11月限「$74.98」で推移しているからです。
(3)
WTIは米国金融市場の投資資金を反映している
先週から今朝の原油相場では、国際原油取引の指標となる「ロンドン
ICEブレント」と「ニューヨークNymex-WTI」の価格差が拡大し、WTI期近が独歩安になった。このWTIの独歩安は、米国金融市場の投資資金を反映している可能性が高い。今回のWTI期近安は、Nymexの受渡地点であるオクラホマ州の「クッシング在庫」とは相関していない。当社では、ニューヨーク原油(WTI)期近の大幅下げは、バブル崩壊後の「米国経済の地盤沈下の懸念」「米国経済の下振れリスク」「米国金融市場の投資資金の縮小」などを反映している可能性が高いと考えています。
(4)
JPモルガン、自己勘定部門を閉鎖
今回のニューヨーク原油期近の大幅下げは、受渡地点のクッシング在庫と相関はありません。つまり、ロンドンとニューヨークの原油期近の価格差が、クッシング在庫の増減に相関して伸縮しているわけではない。現在のニューヨーク原油(
WTI)期近の独歩安は、米国金融市場の投資資金の縮小を反映している可能性が高い。その関連で、今朝のニュースを見ると、JPモルガンが自己勘定コモディティ部門を閉鎖。
資料1/ニューヨーク 831日 ロイター
JPモルガン・チェースは、米金融規制改革によって成立した新たな規制の順守に向けて、自己勘定商品(コモディティー)取引デスクのトレーダーに同部門を閉鎖する意向を伝えた。他の自己勘定取引デスクも徐々に閉鎖する計画という。米銀行業界では、包括的な金融規制改革法に銀行の自己勘定取引を制限するボルカー・ルールが盛り込まれたことを受け、トレーディング業務を見直す動きが広がっている。ゴールドマン・サックス・グループは、自己勘定による株式トレーディング部門をヘッジファンドに転換する案を検討している。各行には新規制の順守まで時間的余裕はあるが、トレーダーがヘッジファンドに移籍する前に早期に対応策を見極めたいとの向きが多い。前出の関係筋によると、JPモルガンの自己勘定商品取引部門のトレーダーは20人未満で、1人は米国、残りは英国を拠点にしている。英国のトレーダーは前週、同国の法律に従って、職を失う可能性があるとの通知を受けたという。このニュースを最初に報じたブルームバーグによると、トレーダーには社内の別のポジションに応募する機会が与えられる。
資料2/831日 ブルームバーグ
資産規模で米銀
2位のJPモルガン・チェースは自己勘定の商品部門のトレーダーに対し、同部門の閉鎖を通知した。同行はすべての自己勘定トレーディング部門の閉鎖に着手した。事情を説明された関係者が明らかにした。JPモルガンの決定が非公開であることを理由に匿名を条件に語った同関係者によると、投資銀行向けに新たに設定された規制を順守するため、同行は最終的にすべての自己勘定トレーディング部門を閉鎖するという。債券と株式の自己勘定部門も後に閉鎖される。同関係者によれば、商品の自己勘定部門閉鎖の影響を受ける従業員は20人弱にとどまる見通し。米議会は今年、2008年の信用危機再来を防ぐため、金融機関の規制法案を通過させた。自己勘定取引の規制は元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のポール・ボルカー氏が推進したため、ボルカー・ルールと呼ばれる。
≪中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さ
本日
91日午前10時に中国物流購買連合会が発表した「8月の中国製造業購買担当者指数」(PMI)の予想以上の上昇は、中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さを表している。
(1)「
8月の中国製造業購買担当者指数」(PMI)の上昇
注目されていた中国物流購買連合会発表の「
8月の製造業購買担当者指数」(PMI)は<51.7>、前月比+0.5ポイント改善した。これまで「6月〜8月」相場では、米国経済の下振れリスクから中国経済を眺める傾向があり、「米国が不況なら中国経済も失速」との思惑が続いてきた。しかし、本日の8月中国「製造業購買担当者指数」(PMI)は市場の事前予想を上回った。
(2)中国金融当局の不動産投資規制は続く
(@)中国銀行業監督委員会(銀監会)の幹部は
831日、銀監会が不動産投資・投機抑制策の実施を断行し、リスク管理を行ったうえで保障性住宅(低収入者向け住宅)の建設を支えると示した。また、市中銀行が抱える住宅ローンのストレステスト(健全性審査)などの実施を進めていると表明した。
(A)中国では、経済成長にともなって都市部の人口が農村部を上回って増加するため、住宅需要が増加する。このため不動産投資への思惑が根強い。中国当局は、景気過熱や資産バブルのリスクを対処可能な範囲に収めるため、一連の行政的手段を駆使して投資需要の抑制を断行している。当社では、中国経済の構造調整と金融の微調整は<持続的成長にとってプラスになる>と考えています。中国の金融機関の増資が、目先の中国株市場の需給を圧迫したとしても、将来に向けては必要なことです。
(3)中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さ
当社では、今朝の「中国の
8PMI」も「不動産投資の規制」も、共に<好材料>と受け止めています。中国当局が行政的措置を駆使して構造調整と規制に乗り出す中でも、8月の中国PMIが予想以上に反発したことは、中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さを表している。中国当局は景気過熱を抑えながら、巡航速度に軟着陸させ、構造調整を進捗させていく。そのための強力な<政治的意志>と<財源>がある。
データ/中国の製造業購買担当者指数(PMI
     2010年  2009年  2008年
12月        56.6   41.2
11月        55.2   38.8★リーマン破綻後の底
10月        55.2   44.6
9月        54.3   51.2
8月   51.7   54.0   48.4
7月   51.2   53.3   48.4
6月   52.1   53.2   52.0
5月   53.9   53.1   53.3
4月   55.7   53.5   59.2
3月   55.1   52.4   58.4
2月   52.0   49.0
1月   55.8   45.3

※データ/
8月の原油価格(プラッツ)
(1)
8月のドバイ原油のスポット価格   74ドル09 セント
(2)
8月のオマーン原油のスポット価格. 74ドル37 セント
(3)ドバイ及びオマーンの
2油種平均   74ドル229セント
(4)
8月の東京仲値平均          1ドル=8550
(5)東京原油
8月限の最終決済価格   39,920/KL


8月31日(火曜日) 日銀の現状分析
「市況研究社日報」(石油)第1791号
≪当社の基本認識と意見
(1)現在の世界経済と世界市場の成長ダイナミクスは、中国とアジア新興国にシフトしている。中国の成長はアジア地域の貿易網を通して同地域全体に貢献し、世界経済にも波及した。一方、投資銀行型の成長モデルを描き、不動産と信用のバブルにまみれた米欧経済は、バブル崩壊後にバランスシートの修復を必要とされているため、低成長と需給ギャップに苦しみ、成長ダイナミクスを弱体化させている。中国とアジア新興国は、世界経済全体の成長率を上回って伸びているのに対して、バブルが崩壊した米欧先進国は債務圧縮という構造的逆風の中で最終消費の回復が遅れる。
(2)バブル崩壊後の米国では、(@)金融政策(低金利)と財政政策の支援、(A)在庫循環のマイナス局面からプラスへの移行期を背景に、「米国の急激な復興期待と出口政策への移行」を取り沙汰する場面があったが、本年
5月の「本格調整」からはそうした楽観ムードは後退している。とくに6月以降は、米国市場で運用される投資資金が米国債市場にシフトし、低成長とトータル・リターンの低さを織り込み、さらに622日以降は事実上の「デフレ期待」に走ってきた。当社では622日〜7月上旬の相場で当面の懸念要素は織り込んできたと考えています。本年の「全体観」として、7月上旬安値が「調整場面の底」と考えています。
(3)米欧先進国は、バブル崩壊後のバランスシート調整と需給ギャップに苦しむ。その一方で、中国とアジア新興国は、世界経済全体の成長率を上回る拡大をたどる。コモディティ需要を押し上げているのは、中国とアジア新興国の需要拡大です。米国経済がバブル崩壊後の長期にわたるバランスシート調整で、低成長と需給ギャップが続くからといって、通常の「リセッション」(=景気後退)を越えて、「デフレ不況」まで織り込む市場人気には同意することができない。現在の時点で「デフレ期待」の市場人気は「正当化」できない。当社では、本年の「全体観」として、
7月上旬安値が「調整場面の底」と考えています。
(4)当社「日報」でお伝えしている「現状分析」は、日銀と共通するところが多い。当社では、日銀総裁を務めるような人物には、自分の言葉をそのままの姿で聞いてもらうことを要求する権利があると思うので、記者会見での白川総裁の発言をそのままお伝えしようと思います。
≪日銀の現状分析と金融政策
(1)前回
810日の記者会見
前回、
89日(月)−10日(火)の金融政策決定会合後の記者会見で、日銀の白川総裁は(T)経済成長の原動力は新興国にあり、(U)当面の下振れリスクは米国にあると述べた。
(@)新興国の上振れリスク
「輸出や生産は、新興国経済の高成長や世界的な情報関連財需要の拡大などを背景に増加を続けています。・・景気の上振れ要因としては、新興国・資源国経済の更なる強まりなどが挙げられます。」
(A)先進国の下振れリスク
「一方で、国際金融面での動きなど下振れリスクもあると考えています。国際金融資本市場は、市場が最も注目していた欧州ストレステストの結果の公表を受けて、欧州金融機関の
CDSプレミアムが低下し、米欧株価も小幅上昇するなど、ひとまず落ち着きを取り戻しましたが、米国の経済指標などに振れやすい不安定な地合いが続いています。」
(B)世界経済は新興国に牽引されて回復
「世界経済は、新興国等に牽引されて回復を続けているほか、企業収益や企業の景況感は引き続き改善しています。金融環境という点では、このところ円高と並行して長期金利も幾分低下していますが、そうした中で企業の資金調達コストの低下傾向が続き、企業収益との対比でみた低金利の緩和効果が強まっているほか、企業の資金繰りも総じて改善しているなど、緩和方向の動きが続いています。こうした点を踏まえると、今のところ、わが国経済は、4 月末の展望レポートや先月の中間評価の想定に沿って回復傾向を辿ると判断しています。」
(C)中国=景気拡大の持続性
「高い伸びを続けてきた中国向けの輸出の増加テンポは、中国における一連の措置の効果もあって、足許では幾分鈍化しています。これは短期的には下振れリスクと分類されるわけですが、これまでのような高い伸びを続けるほど、その後の反動減が大きくなることを考えると、景気拡大の持続性という、より長期的な観点からは、むしろこれはプラスに評価されるべきかもしれません。」
(D)新興国の上振れ、先進国の下振れリスクの相互作用
「現在は、大きく整理すると、先進国は景気の下振れリスク、新興国は上振れリスクが意識されているわけですが、その場合、先進国における金融緩和の長期化予想、あるいは先進国における景気の下振れの可能性を意識した新興国の金融緩和修正の遅れが、新興国への一層の資本流入を促進し、これが新興国の上振れをもたらす可能性もあります。つまり、先進国の下振れが新興国の上振れをもたらすかもしれないという側面もあります。そういう意味で、私どもとしては、経済・金融がグローバル化しているもとでは、新興国、先進国に関する上下のリスク要因は複雑に絡み合っており、リスクが顕現化する経路も一様ではなくなってきていると思っています。」
(E)米国の下振れリスク
「日本銀行は、わが国のバブル崩壊後の経験から、バランスシート調整の厳しさについて、もともと市場参加者や国際機関などよりもかなり慎重な見方をしており、本年の比較的最近までのやや楽観的な市場の見通しについては、多少、私どもの判断との間に距離感があると感じていました。」「私どもは、米国経済について、
4月末の展望レポートや先月の中間評価では、その回復テンポが緩やかなものに止まるという慎重な見通しを持っており、現在の米国経済の姿は、こうした私どもの慎重な見通しに概ね沿ったものと考えています。」「日本銀行としては、日本経済について――もちろんリスク要因について注視する必要があることは言うまでもありませんが――こうした米国経済の慎重な見通しを前提として考えており、現在までのところ、展望レポートで示した標準的な見通しの枠の中で動いていると判断しています。次に、欧州経済についてです。・・・経済には、その時々の上昇・下降はもちろんあるわけですが、私どもとしては、米国同様欧州についても慎重にみています。」
(2)今回、
830日の臨時会合後の総裁記者会見要旨
昨日
30日午後2時半から行われた日銀の白川総裁の記者会見要旨(約50分間)
(@)米国と中国
「世界経済の回復と米国経済の関係についてですが、もちろん、米国経済は非常に大きな経済ですから、米国経済がしっかりと回復していくことが大事であることは言うまでもありません。ただ、米国経済について足許弱気の見通しが広がってはいますが、今回のバーナンキ議長の講演では、
2011年の回復の条件自体は整っている、ということも言っています。このFRBの見通しが正しいかは現状わかりませんが、私どもとしては、下振れ方向のリスクを意識しながら状況をみていくことがよいと思っています。ただ、ご質問にあった中国経済をはじめとして、新興国は現在も力強い拡大を続けているとみています。中国については、春先以降、各種の政策措置によって一部の分野で若干減速している面もありますが、持続的な景気の拡大という観点からは、むしろ若干のスローダウンは望ましいのかなと思います。ただ、いずれにせよ、新興国の強さと足許の米国の弱さが、どのように相互に作用していくのかは、注意してみていきたいと思っています。」
(A)バブル崩壊後の経済調整の厳しさ
「ジャクソンホールで私自身が感じたことは、大きく言って 2つあります。
1つは、経済の短期的な動きについてです。こちらは、米国経済についてお示しした判断にも反映されているとご理解頂きたいと思います。もう1つは、ジャクソンホールでの議論は1年に1回行いますので、この1年間の変化を改めて皆が確認して、その上で今自分達がどういうことを考えているのかを深く考察するよい機会になっています。1年前を考えますと、一昨年9月のリーマンショック後の大きな経済の落ち込みから抜け出して、世界経済は回復の方向に持ち直していました。その意味で、若干の安堵感が拡がっていたように思います。それから1年、今回は、ギリシャ危機をはじめとしてソブリンリスクの問題に直面し、米国経済も足許弱くなってきています。一方、先進国の政策金利は実質ゼロ、財政赤字も非常に高い数字で、政策対応余地も大きくはないという状況です。それだけに、本格回復軌道に乗るにはまだ時間がかかると、会議の参加者が実感していたように思います。バブル崩壊後の経済調整の厳しさを身を持って体験してきた当事者である私どもとしては、こうした事態を将来予測に織り込んでいます。ただ、そうした事態を体験していない人からすると、調整には時間がかかるということを、改めて重く受け止めているように思いました。会場の内外で、日本に関する質問を改めて多く受けました。それも、先程申し上げたような問題意識を反映しているのだと思いました。それだけに、例えば、バブル期の金融政策のあり方、あるいは金融危機発生後の異例な政策対応のあり方、規制・監督などについてしっかりと議論していく必要があります。つまり、中央銀行の基本的な政策思想についてもう1回、根源から考え直していく必要があることを皆が実感し始めていると私は受け止めました。」
(B)実質的なゼロ金利と市場機能
「日本銀行は金融緩和効果を最大限に発揮するために各種の資金供給手段を活用しながら、潤沢な資金供給を行っています。国債買入れについても、将来にわたって金融調節の対応力を確保しつつ、安定的なかたちで潤沢な資金を円滑に供給するという金融調節の観点から、大いに活用しています。日本銀行の買入れ額を、最近国債買入れを再開した
FRBの買入れと比較すると、名目GDP比でみたフローの買入れ額は、日本銀行がFRBの約3倍となっています。残高ベースでみても、名目GDP対比で、日本銀行の買入残高は11.8%と、米国の5.3%のほぼ2倍となっています。日本銀行として、効果と副作用を考えた上で、国債の買入れについては現在の買入れ規模が最適であると判断しています。それから、誘導目標金利の引下げについても、効果と副作用を入念に点検しています。もちろん先々の政策ですから、予め特定の政策を排除するとか、念頭におくということはなく、予断なく点検していきますが、現時点での考え方を申し上げますと、現状実質的なゼロ金利という極めて低い金利水準となっているもとで、追加的な利下げが市場機能や金融機関行動に与える副作用についても十分見極めた上で判断していく必要があります。ジャクソンホールでのバーナンキ議長講演でも、短期金利をこれ以上引き下げると、多くの金融機関が短期金融市場から退出し、市場の流動性が大きく低下するとした上で、追加的な金利引き下げが、市場の機能を長期にわたって損ない、適切な金融政策を阻害する惧れがあると指摘されています。私は、かねてよりこうした問題の重要性について指摘していますけれども、当初はこのような問題についてあまり多くの理解があったわけではありませんので、ジャクソンホールでバーナンキ議長の講演を聴きながら、ある種の感慨を覚えました。」
(C)バブル崩壊後の米国経済の不透明感と下振れリスク
「大きな信用バブルが崩壊した後の経済の回復の姿について日本経済を例にみると、時間がかかりますし、少し良くなったといっても、それがまた後退するということを何度となく経験しました。結局、米国経済の抱えている不均衡、これは家計部門のバランスシートの問題もそうですが、この不均衡の大きさがどの程度かということについて、まだ明確にはわかっていないわけです。もちろん、事後的にはある程度わかるわけですが、そうしたことに関する不確実性がそもそもあるわけで、これは長い目でみた場合の不確実性です。それだけに、私どもとしては、ある特定のシナリオに固執するということではなく、経済データに即して点検していく姿勢が大事だと思っています。その意味で下振れリスクにより注意するという表現を使っています。」
≪データ/「ECRI」指数
(1)景気循環調査研究所(
Economic Cycle Research Institute
(2)週間景気先行指数(
Weekly Leading Index; WLI
(3)
growth=年率換算の伸び率


8月28日(土曜日) 石油市場の現状分析
「市況研究社日報」(石油)第1790号
≪原油CIF
(1)
9月の原油CIF予想=40,900/KL
(@)原油コストは上昇=前月比
1ドル96セント高
(A)タンカーの海上運賃は下落
(B)為替=前月比
225銭の円高
(C)上記を勘案して、
9月原油CIFは「8CIF」から▲300/KL程度下落。
(2)本年の原油
CIFと「ガソリン卸の指標(円/リットル)」
※印は当社算定値
   原油CIF    前月比  CIF+15,000 CIF+12,000
9月 40,900円/KL※  ▲300円   109.70   106.70
8月 41,200円/KL※ ▲1,570円   110.00   107.00
7月 42,770円/KL  ▲2,970円   111.57   108.57
6月 45,740円/KL  ▲3,989円   114.54   111.54
5月 49,729円/KL  +3,229円   118.53   115.53
4月 46,500円/KL  +3,118円   115.30   112.30
3月 43,382円/KL  ▲1,387円   112.18   109.18
2月 44,769円/KL    +62円   113.57   110.57
1月 44,707円/KL   +556円   113.51   110.51

(3)原油コストについて
(@)中東原油スポットの指標
本船渡し(FOB) オマーン ドバイ   為替
8月積み   ※ 74.65 ※ 74.35   1ドル=85.50円
7月積み    72.59   72.49   1ドル=87.75円
6月積み    74.18   73.99   1ドル=90.92円
5月積み    77.04   76.78   1ドル=91.69円
4月積み    83.67   83.59   1ドル=93.41円
3月積み    77.72   77.31   1ドル=90.52円
2月積み    73.92   73.48   1ドル=90.37円
1月積み    77.01   76.69   1ドル=91.22円

(A)東京原油8月限の最終決済価格について
週末時点の当社算定値(予想)
8月のドバイ原油のスポット価格   74ドル35セント
8月のオマーン原油のスポット価格  74ドル65セント
8月のドバイ及びオマーンの2油種平均 74ドル50セント
8月の東京仲値平均         1ドル=85円50銭
東京原油8月限の最終決済価格    40,060円/KL

(4)当社の立場と意見
(@)原油の月次コスト
ここ
3カ月間の原油相場では、米ドル建ての本船渡し価格(FOB)は下げていない。米ドル建ての原油相場は、日々の動きでは上下に振ってくるが、基準となるマーカー原油のスポット価格の月間平均値で見れば、レンジ相場の範囲で推移してきた。わが国石油会社が最も多く購入しているサウジアラビアの「アラブエキストラ・ライト」(AXL)の本船渡し価格を算定した場合には・・・
AXL 8月積み(FOB) $75.300
AXL 7月積み(FOB) $73.189
AXL 6月積み(FOB) $75.432
(A)タンカーの運賃率と「為替」
原油の月次コストが、米ドル建てで上昇しても、わが国石油会社の購入原油価格は、(
A)「タンカーの運賃率」と(B)「為替」が変動要因になる。(A)ワールド・スケール・レート(WSレート)のタンカー運賃率は7月以降、<50>前後に低下している。つまり、50%前後の運賃率で推移している。(B)為替(ドル円)は、8月相場で「1ドル=84円」の円高に進んだ。
(B)原油CIF予想
円貨
/KL建ての「原油CIF」予想は、上記の(A)(B)によって押し下げられている。当社では「DMEオマーン」のスポット価格を中心に、中東原油を算定しているため、もう一度、月末の「プラッツ価格」で確かめることにします。
   原油CIF    前月比  CIF+15,000 CIF+12,000
9月 40,900円/KL※  ▲300円   109.70   106.70
8月 41,200円/KL※ ▲1,570円   110.00   107.00
7月 42,770円/KL  ▲2,970円   111.57   108.57

≪ガソリン
7月のガソリン販売は、前年比<+10%>近く増加したのではないかと推測します。本年6月、7月と、前年対比でガソリン販売が拡大し、8月も好調を維持している。しかも、各段階の価格から見て、マージンも十分に確保している。
(1)総務省「家計調査」
週末
827日朝に総務省統計局から「7月家計調査」が発表された。全国二人以上の世帯の家計収支(=1世帯当たり1カ月間の支出金額、購入数量及び平均価格)にもとづく「全国平均価格」です。
(@)データ/全国二人以上の世帯のガソリン購入価格
(a)1カ月間の平均購入価格(消費税込み)
(b)石油情報センター価格には、現実的な意味はありません
(c)※印は、当社推定値
     総務省「家計調査」       石油情報センター
     ガソリン購入価格  前月比   月次10日調査価格
8月(10) ※ 127-126円/L           134 円/L
7月(10)  129.89 円/L   ▲2.44円    136 円/L
6月(10)  132.33 円/L   ▲2.04円    138 円/L
5月(10)  134.37 円/L   +4.05円    139 円/L
4月(10)  130.32 円/L   +4.45円    133 円/L
3月(10)  125.87 円/L   +2.18円    130 円/L
2月(10)  123.69 円/L   +1.91円    129 円/L
1月(10)  121.78 円/L   +0.91円    126 円/L
12月(09)  120.87 円/L   ▲0.44円    127 円/L
11月(09)  121.31 円/L   ▲1.48円    127 円/L
10月(09)  122.79 円/L   ▲1.63円    129 円/L
9月(09)  124.42 円/L   +2.85円    129 円/L
8月(09)  121.57 円/L   +0.58円    126 円/L
7月(09)  120.99 円/L   +3.45円    125 円/L

(A)ガソリン購入数量=6月から7月販売が拡大
(a)原データは、総務省「家計調査」
(b)当社独自に調整して「販売数量」の指標を作成
(c)6月から7月のガソリン販売が好調
(d)8月も好調を持続している可能性が高い
全国消費世帯のガソリン購入量
   H.22  H.21  H.20  H.19  H.18  H.17  H.16
   2010  2009  2008  2007  2006  2005  2004
12月     78.36  85.00  79.69  85.59  84.91  83.05
11月     74.33  81.93  75.54  80.58  79.41  79.78
10月     74.53  76.10  77.94  79.03  81.21  83.08
9月     74.48  74.66  79.32  79.63  82.65  83.27
8月     83.11  77.55  84.87  88.12  89.48  89.77
7月 80.57  76.31  72.22  79.21  82.83  82.72  86.28
6月 73.74  71.18  69.69  76.17  77.61  81.54  79.42
5月 76.85  76.26  71.76  77.57  80.58  80.58  85.85
4月 73.36  74.29  85.93  79.31  80.44  77.44  82.04
3月 76.36  77.14  72.09  79.69  81.08  81.50  87.67
2月 70.62  73.15  74.43  76.98  75.40  78.36  82.27
1月 74.21  79.99  76.74  81.16  82.46  79.14  83.96

≪週明け830日(月曜日)の中東原油
週末
827日(金曜日)終値を基準にして、週明け830日(月曜日)の基準値を算定します。したがって、もう一度、週明けの為替等で再計算する必要があります。週末時点で大雑把に試算すると「+1,300円高」見当。
(1)
30日(月曜日)の原油市場
(@)国際原油取引の基準は
ICEブレント10月限
(A)為替は「
1ドル=85.24円」で計算
(B)週末
27日の帳入値段から「+1,300円高」あたり
(C)当社算定値=週明け
30日前場寄り付きの中東原油スポットの目安
東京原油 08月限  $74.55  39,970 /KL
東京原油 09月限  $75.00  40,210 /KL  +1,300
東京原油 10月限  $75.50  40,470 /KL  +1,270
東京原油 11月限  $76.00  40,740 /KL  +1,290
東京原油 12月限  $76.50  41,010 /KL  +1,300
東京原油 01月限  $77.08  41,320 /KL  +1,300

(2)購入原油価格(
FOB)と「輸入CIF価格」(当社予想)
わが国石油会社の購入原油価格の予想
(@)プラッツ価格と若干の違いがあります。
(A)為替は東京仲値(三菱東京UFJ銀行)
(B)あくまで当社の便宜的な算定値です。
(C)タンカー運賃が下落したため、遡って修正を加えています。
(D)週末のシンガポール終値時点からは「+1,540円高」
中東原油のFOB価格  為替    原油CIF価格(予想)
※省略


 

 

 


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