原油輸入CIF価格とガソリン系列卸 |
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■「市況研究社日報」(見本)
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9月2日(木曜日) 国際原油取引の指標について
「市況研究社日報」(石油)第1793号
≪国際原油取引の指標について
ニューヨーク原油(Nymex-WTI)は、北米のローカル原油です。ニューヨークWTI期近を国際原油取引の指標に描くと、値頃感を誤ると思います。米国のバブル崩壊後の石油市場で、サウジアラビアはWTIを値決めの基準から外している。
(1)米国のバブル崩壊後のWTI
世界の経済成長に占める米国の役割が弱体化したことによって国際原油取引におけるWTIの指標性も低下した。世界経済の成長ダイナミクスが中国とアジア新興国にシフトし、米国経済の成長ダイナミクスが弱体化すると共にWTIの指標性も低下し、北米のローカル原油に落ちぶれたと考えています。当社では、世界経済と世界市場の並外れた変革期の「原油相場」については、ICEブレントを指標にお伝えしています。
(2)WTI期近の独歩安
先週から今週のニューヨーク原油(Nymex-WTI)期近の独歩安は、受渡地点の「クッシング在庫」とも相関していない。クッシング在庫はピークから減少しているにもかかわらず、WTI期近10月限は下ザヤを広げた。
データ/米国の原油商業在庫(単位:バレル)
米国原油在庫(SPRは除く) その内、クッシング在庫
8/27 3億6,170万7千 +342万5千 3,580万 -50万
8/20 3億5,828万2千 +410万8千 3,630万 -70万
8/13 3億5,417万4千 -81万8千 3,700万 -70万
8/06 3億5,499万2千 -298万8千 3,770万 -10万
7/30 3億5,798万0千 -278万4千 3,780万 +60万
7/23 3億6,076万4千 +730万8千 3,720万 +10万
7/16 3億5,345万6千 +36万0千 3,710万 +100万
7/09 3億5,309万6千 -505万8千 3,610万 +30万
7/02 3億5,815万4千 -496万1千 3,580万 -20万
6/25 3億6,311万5千 -200万7千 3,600万 -80万
6/18 3億6,512万2千 +201万7千 3,680万 -80万
6/11 3億6,310万5千 +169万0千 3,760万 +20万
6/04 3億6,141万5千 -182万9千 3,740万 -50万
5/28 3億6,324万4千 -190万2千 3,790万 +30万
5/21 3億6,514万6千 +246万0千 3,760万 -30万
5/14 3億6,268万6千 +16万2千 3,790万 +90万
(3)アジア向け中東原油の指標
中東原油のアジア向け輸出価格は、オマーン及びドバイのスポット価格を基準にしている。これらアジア市場のマーカー原油は、ICEブレントとの価格差を指標にしている。9月相場はICEブレント11月限が指標になるため、今朝までの<ICEブレント11月限の相場表>を記します。「5月25日=底の基本」以降の<ICEブレント>を振り返った場合、<77ドル>が現行レンジの中心にあたる。
データ/ICEブレント11月限の相場表
始値
高値 安値 終値 前日比
9/01 74.76 77.14 74.75 76.72 +1.74
8/31 76.60 77.13 74.57 74.98 −2.01
8/30 77.23 77.41 76.34 76.99 −0.02
8/27 75.01 77.30 74.77 77.01 +1.60
8/26 74.10 75.95 73.82 75.41 +1.48
8/25 72.92 74.36 72.22 73.93 +1.02
8/24 73.81 74.07 72.67 72.91 −1.20
8/23 75.00 75.38 73.75 74.11 −0.64
8/20 75.75 76.25 74.46 74.75 −1.00
8/19 76.91 77.62 75.46 75.75 −1.24
8/18 77.28 77.37 75.82 76.99 −0.46
8/17 75.97 78.22 75.97 77.45 +1.29
8/16 75.72 76.15 75.00 75.63 +0.11
8/13 76.60 77.33 75.63 76.06 −0.41
8/12 78.26 78.62 76.19 76.47 −2.25
8/11 80.66 80.70 78.14 78.72 −2.01
8/10 82.13 82.15 79.63 80.73 −1.30
8/09 81.47 82.25 81.33 82.03 +0.82
8/06 82.42 83.00 80.62 81.21 −1.29
8/05 83.07 83.07 81.89 82.50 −0.50
8/04 83.00 83.61 82.32 83.00 −0.22
8/03 81.75 83.22 81.28 83.22 +1.65
8/02 79.25 81.89 79.11 81.57 +2.52
7/30 78.26 79.18 76.97 79.05 +0.61
7/29 76.93 78.92 76.51 78.44 +1.31
7/28 77.12 77.41 76.11 77.13 −0.08
7/27 78.54 79.24 76.54 77.21 −1.38
7/26 78.41 78.92 77.70 78.59 +0.08
7/23 78.75 79.18 77.99 78.51 −0.39
7/22 76.45 79.00 76.10 78.90 +2.46
7/21 77.22 78.15 76.22 76.44 −0.74
7/20 76.69 77.48 75.78 77.18 +0.48
7/19 76.32 78.18 75.93 76.70 +0.34
7/16 77.04 77.30 75.65 76.36 −0.63
7/15 77.00 78.07 76.00 76.99 −0.48
7/14 77.56 78.31 76.95 77.47 −0.06
7/13 75.50 77.72 74.59 77.53 +2.20
7/12 76.63 76.79 75.00 75.33 −1.30
7/09 76.38 77.04 75.90 76.63 +0.41
7/08 75.59 76.65 75.18 76.22 +1.32
7/07 73.06 75.67 72.37 74.90 +2.02 ┓
7/06 72.48 74.55 72.05 72.88 +0.14 ┃ 7月上旬安値
7/05 73.27 73.27 72.30 72.74 −0.01 ┃全体観の「調整安の底」
7/02 74.00 74.00 72.40 72.75 −0.78 ┃
7/01 75.38 75.54 72.79 73.53 −2.64 ┛
≪本日9月2日前場の目安
(1)+650円高
今朝のニューヨーク原油(Nymex-WTI)期近10月限の終値が「$73.91」であっても、中東原油のスポット価格は「オマーン=$74.60」、「ドバイ=$74.40」あたりが目安になる。為替「1ドル=84.54円」で換算して東京原油当限9月限は「39,610円/KL」、10月の輸入CIFは「40,610円/KL」あたり。
(2)東京原油先限2011年2月限
東京原油の先限2月限は「$76.90」あたり、為替「1ドル=84.54円」で「40,890円/KL」、前日比「+650円」高。
≪7月安値=「全体観の調整安の底値」
(1)国際的な物流の指標=海運(ばら積み船)
当社では、原油相場について「本年5月25日安値」が<底の基本>とお伝えしました。包括的に各市場を眺(なが)めた場合には、「7月安値」が<全体観の底値>という認識です。
(2)データ/傭船市況=主要4航路平均の傭船料(単位:1日あたり米ドル)
ケープサイズ パナマックス L.ハンディマックス
172型 74型 55型
9月01日 35,932ドル 23,757ドル 21,213ドル
8月31日 34,488ドル 23,712ドル 21,601ドル
8月27日 33,745ドル 23,935ドル 22,054ドル
8月26日 32,942ドル 24,309ドル 22,151ドル
8月25日 34,609ドル 24,809ドル 22,392ドル
8月24日 37,607ドル 25,141ドル 22,238ドル
8月23日 37,321ドル 25,097ドル 21,976ドル
8月20日 34,913ドル 24,830ドル 21,710ドル
8月19日 32,066ドル 24,365ドル 21,272ドル
8月18日 30,344ドル 23,859ドル 20,623ドル
8月17日 30,084ドル 23,460ドル 19,946ドル
8月16日 29,945ドル 23,166ドル 19,592ドル
8月13日 29,956ドル 23,013ドル 19,147ドル
8月12日 29,878ドル 22,723ドル 18,680ドル
8月11日 29,022ドル 22,077ドル 18,295ドル
8月10日 24,153ドル 21,411ドル 18,076ドル
8月09日 21,298ドル 20,936ドル 18,009ドル
8月06日 18,422ドル 20,733ドル 18,096ドル
8月05日 16,596ドル 20,621ドル 18,130ドル
8月04日 15,369ドル 20,947ドル 18,174ドル
8月03日 14,910ドル 21,416ドル 18,293ドル
8月02日 15,062ドル 21,515ドル 18,366ドル
7月30日 14,965ドル 21,155ドル 18,401ドル
7月29日 14,443ドル 20,752ドル 18,450ドル
7月28日 13,579ドル 20,138ドル 18,525ドル
7月27日 13,018ドル 19,673ドル 18,551ドル
7月26日 12,643ドル 19,324ドル 18,409ドル
7月23日 12,755ドル 18,997ドル 18,250ドル
7月22日 12,863ドル 18,397ドル 18,017ドル
7月21日 13,266ドル 17,761ドル 17,688ドル
7月20日 13,336ドル 17,366ドル 17,470ドル
7月19日 12,793ドル 17,081ドル 17,402ドル
7月16日 12,495ドル 16,839ドル 17,448ドル
7月15日 12,073ドル 16,331ドル 17,595ドル
7月14日 12,278ドル 15,941ドル 17,950ドル
7月13日 14,722ドル 15,680ドル 18,406ドル
7月12日 15,997ドル 15,648ドル 18,702ドル
7月09日 17,643ドル 15,679ドル 18,999ドル
7月08日 18,185ドル 16,004ドル 19,275ドル
7月07日 19,652ドル 16,784ドル 19,556ドル
9月1日(水曜日) 中国ファンダメンタルズの健全さ
「市況研究社日報」(石油)第1792号
≪国際原油取引の指標について
(1)Nymex-WTI期近=$71.92
今朝の米国市場では国債相場が反騰(=利回りは低下)し、原油が売られたために、ニューヨーク原油(Nymex WTI)期近10月限は「$71.92」(前日比-2ドル78セント安)に下げた。
ロンドン
ニューヨーク
ICEブレント Nymex WTI 価格差
10月限 74.64 71.92 ▲2.72
11月限 74.98 73.54 ▲1.44
12月限 75.58 75.10 ▲0.48
1月限 76.20 76.19 ▲0.01
2月限 76.79 77.05 +0.26
3月限 77.40 77.68 +0.28
4月限 77.99 78.14 +0.15
(2)中東のスポット価格はWTIほど下げない
ニューヨーク原油(Nymex-WTI)期近10月限
が「$71.92」に下げても、中東原油のアジア向け輸出価格の基準となるドバイやオマーンのスポット価格が大幅安に急落するわけではない。ドバイやオマーンのスポット価格は「$72.80〜$72.90」以上で推移する公算が大きい。なぜなら、中東原油の指標となるロンドンICEブレントでは期近10月限「$74.64」、同11月限「$74.98」で推移しているからです。
(3)WTIは米国金融市場の投資資金を反映している
先週から今朝の原油相場では、国際原油取引の指標となる「ロンドンICEブレント」と「ニューヨークNymex-WTI」の価格差が拡大し、WTI期近が独歩安になった。このWTIの独歩安は、米国金融市場の投資資金を反映している可能性が高い。今回のWTI期近安は、Nymexの受渡地点であるオクラホマ州の「クッシング在庫」とは相関していない。当社では、ニューヨーク原油(WTI)期近の大幅下げは、バブル崩壊後の「米国経済の地盤沈下の懸念」「米国経済の下振れリスク」「米国金融市場の投資資金の縮小」などを反映している可能性が高いと考えています。
(4)JPモルガン、自己勘定部門を閉鎖
今回のニューヨーク原油期近の大幅下げは、受渡地点のクッシング在庫と相関はありません。つまり、ロンドンとニューヨークの原油期近の価格差が、クッシング在庫の増減に相関して伸縮しているわけではない。現在のニューヨーク原油(WTI)期近の独歩安は、米国金融市場の投資資金の縮小を反映している可能性が高い。その関連で、今朝のニュースを見ると、JPモルガンが自己勘定コモディティ部門を閉鎖。
資料1/ニューヨーク 8月31日 ロイター
JPモルガン・チェースは、米金融規制改革によって成立した新たな規制の順守に向けて、自己勘定商品(コモディティー)取引デスクのトレーダーに同部門を閉鎖する意向を伝えた。他の自己勘定取引デスクも徐々に閉鎖する計画という。米銀行業界では、包括的な金融規制改革法に銀行の自己勘定取引を制限するボルカー・ルールが盛り込まれたことを受け、トレーディング業務を見直す動きが広がっている。ゴールドマン・サックス・グループは、自己勘定による株式トレーディング部門をヘッジファンドに転換する案を検討している。各行には新規制の順守まで時間的余裕はあるが、トレーダーがヘッジファンドに移籍する前に早期に対応策を見極めたいとの向きが多い。前出の関係筋によると、JPモルガンの自己勘定商品取引部門のトレーダーは20人未満で、1人は米国、残りは英国を拠点にしている。英国のトレーダーは前週、同国の法律に従って、職を失う可能性があるとの通知を受けたという。このニュースを最初に報じたブルームバーグによると、トレーダーには社内の別のポジションに応募する機会が与えられる。
資料2/8月31日 ブルームバーグ
資産規模で米銀2位のJPモルガン・チェースは自己勘定の商品部門のトレーダーに対し、同部門の閉鎖を通知した。同行はすべての自己勘定トレーディング部門の閉鎖に着手した。事情を説明された関係者が明らかにした。JPモルガンの決定が非公開であることを理由に匿名を条件に語った同関係者によると、投資銀行向けに新たに設定された規制を順守するため、同行は最終的にすべての自己勘定トレーディング部門を閉鎖するという。債券と株式の自己勘定部門も後に閉鎖される。同関係者によれば、商品の自己勘定部門閉鎖の影響を受ける従業員は20人弱にとどまる見通し。米議会は今年、2008年の信用危機再来を防ぐため、金融機関の規制法案を通過させた。自己勘定取引の規制は元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のポール・ボルカー氏が推進したため、ボルカー・ルールと呼ばれる。
≪中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さ
本日9月1日午前10時に中国物流購買連合会が発表した「8月の中国製造業購買担当者指数」(PMI)の予想以上の上昇は、中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さを表している。
(1)「8月の中国製造業購買担当者指数」(PMI)の上昇
注目されていた中国物流購買連合会発表の「8月の製造業購買担当者指数」(PMI)は<51.7>、前月比+0.5ポイント改善した。これまで「6月〜8月」相場では、米国経済の下振れリスクから中国経済を眺める傾向があり、「米国が不況なら中国経済も失速」との思惑が続いてきた。しかし、本日の8月中国「製造業購買担当者指数」(PMI)は市場の事前予想を上回った。
(2)中国金融当局の不動産投資規制は続く
(@)中国銀行業監督委員会(銀監会)の幹部は8月31日、銀監会が不動産投資・投機抑制策の実施を断行し、リスク管理を行ったうえで保障性住宅(低収入者向け住宅)の建設を支えると示した。また、市中銀行が抱える住宅ローンのストレステスト(健全性審査)などの実施を進めていると表明した。
(A)中国では、経済成長にともなって都市部の人口が農村部を上回って増加するため、住宅需要が増加する。このため不動産投資への思惑が根強い。中国当局は、景気過熱や資産バブルのリスクを対処可能な範囲に収めるため、一連の行政的手段を駆使して投資需要の抑制を断行している。当社では、中国経済の構造調整と金融の微調整は<持続的成長にとってプラスになる>と考えています。中国の金融機関の増資が、目先の中国株市場の需給を圧迫したとしても、将来に向けては必要なことです。
(3)中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さ
当社では、今朝の「中国の8月PMI」も「不動産投資の規制」も、共に<好材料>と受け止めています。中国当局が行政的措置を駆使して構造調整と規制に乗り出す中でも、8月の中国PMIが予想以上に反発したことは、中国の潜在的ファンダメンタルズの健全さを表している。中国当局は景気過熱を抑えながら、巡航速度に軟着陸させ、構造調整を進捗させていく。そのための強力な<政治的意志>と<財源>がある。
データ/中国の製造業購買担当者指数(PMI)
2010年 2009年 2008年
12月 56.6 41.2
11月 55.2 38.8★リーマン破綻後の底
10月 55.2 44.6
9月 54.3 51.2
8月 51.7 54.0 48.4
7月 51.2 53.3 48.4
6月 52.1 53.2 52.0
5月 53.9 53.1 53.3
4月 55.7 53.5 59.2
3月 55.1 52.4 58.4
2月 52.0 49.0
1月 55.8 45.3
※データ/8月の原油価格(プラッツ)
(1)8月のドバイ原油のスポット価格 74ドル09 セント
(2)8月のオマーン原油のスポット価格. 74ドル37 セント
(3)ドバイ及びオマーンの2油種平均 74ドル229セント
(4)8月の東京仲値平均 1ドル=85円50銭
(5)東京原油8月限の最終決済価格 39,920円/KL
8月31日(火曜日) 日銀の現状分析
「市況研究社日報」(石油)第1791号
≪当社の基本認識と意見
(1)現在の世界経済と世界市場の成長ダイナミクスは、中国とアジア新興国にシフトしている。中国の成長はアジア地域の貿易網を通して同地域全体に貢献し、世界経済にも波及した。一方、投資銀行型の成長モデルを描き、不動産と信用のバブルにまみれた米欧経済は、バブル崩壊後にバランスシートの修復を必要とされているため、低成長と需給ギャップに苦しみ、成長ダイナミクスを弱体化させている。中国とアジア新興国は、世界経済全体の成長率を上回って伸びているのに対して、バブルが崩壊した米欧先進国は債務圧縮という構造的逆風の中で最終消費の回復が遅れる。
(2)バブル崩壊後の米国では、(@)金融政策(低金利)と財政政策の支援、(A)在庫循環のマイナス局面からプラスへの移行期を背景に、「米国の急激な復興期待と出口政策への移行」を取り沙汰する場面があったが、本年5月の「本格調整」からはそうした楽観ムードは後退している。とくに6月以降は、米国市場で運用される投資資金が米国債市場にシフトし、低成長とトータル・リターンの低さを織り込み、さらに6月22日以降は事実上の「デフレ期待」に走ってきた。当社では6月22日〜7月上旬の相場で当面の懸念要素は織り込んできたと考えています。本年の「全体観」として、7月上旬安値が「調整場面の底」と考えています。
(3)米欧先進国は、バブル崩壊後のバランスシート調整と需給ギャップに苦しむ。その一方で、中国とアジア新興国は、世界経済全体の成長率を上回る拡大をたどる。コモディティ需要を押し上げているのは、中国とアジア新興国の需要拡大です。米国経済がバブル崩壊後の長期にわたるバランスシート調整で、低成長と需給ギャップが続くからといって、通常の「リセッション」(=景気後退)を越えて、「デフレ不況」まで織り込む市場人気には同意することができない。現在の時点で「デフレ期待」の市場人気は「正当化」できない。当社では、本年の「全体観」として、7月上旬安値が「調整場面の底」と考えています。
(4)当社「日報」でお伝えしている「現状分析」は、日銀と共通するところが多い。当社では、日銀総裁を務めるような人物には、自分の言葉をそのままの姿で聞いてもらうことを要求する権利があると思うので、記者会見での白川総裁の発言をそのままお伝えしようと思います。
≪日銀の現状分析と金融政策
(1)前回8月10日の記者会見
前回、8月9日(月)−10日(火)の金融政策決定会合後の記者会見で、日銀の白川総裁は(T)経済成長の原動力は新興国にあり、(U)当面の下振れリスクは米国にあると述べた。
(@)新興国の上振れリスク
「輸出や生産は、新興国経済の高成長や世界的な情報関連財需要の拡大などを背景に増加を続けています。・・景気の上振れ要因としては、新興国・資源国経済の更なる強まりなどが挙げられます。」
(A)先進国の下振れリスク
「一方で、国際金融面での動きなど下振れリスクもあると考えています。国際金融資本市場は、市場が最も注目していた欧州ストレステストの結果の公表を受けて、欧州金融機関のCDSプレミアムが低下し、米欧株価も小幅上昇するなど、ひとまず落ち着きを取り戻しましたが、米国の経済指標などに振れやすい不安定な地合いが続いています。」
(B)世界経済は新興国に牽引されて回復
「世界経済は、新興国等に牽引されて回復を続けているほか、企業収益や企業の景況感は引き続き改善しています。金融環境という点では、このところ円高と並行して長期金利も幾分低下していますが、そうした中で企業の資金調達コストの低下傾向が続き、企業収益との対比でみた低金利の緩和効果が強まっているほか、企業の資金繰りも総じて改善しているなど、緩和方向の動きが続いています。こうした点を踏まえると、今のところ、わが国経済は、4
月末の展望レポートや先月の中間評価の想定に沿って回復傾向を辿ると判断しています。」
(C)中国=景気拡大の持続性
「高い伸びを続けてきた中国向けの輸出の増加テンポは、中国における一連の措置の効果もあって、足許では幾分鈍化しています。これは短期的には下振れリスクと分類されるわけですが、これまでのような高い伸びを続けるほど、その後の反動減が大きくなることを考えると、景気拡大の持続性という、より長期的な観点からは、むしろこれはプラスに評価されるべきかもしれません。」
(D)新興国の上振れ、先進国の下振れリスクの相互作用
「現在は、大きく整理すると、先進国は景気の下振れリスク、新興国は上振れリスクが意識されているわけですが、その場合、先進国における金融緩和の長期化予想、あるいは先進国における景気の下振れの可能性を意識した新興国の金融緩和修正の遅れが、新興国への一層の資本流入を促進し、これが新興国の上振れをもたらす可能性もあります。つまり、先進国の下振れが新興国の上振れをもたらすかもしれないという側面もあります。そういう意味で、私どもとしては、経済・金融がグローバル化しているもとでは、新興国、先進国に関する上下のリスク要因は複雑に絡み合っており、リスクが顕現化する経路も一様ではなくなってきていると思っています。」
(E)米国の下振れリスク
「日本銀行は、わが国のバブル崩壊後の経験から、バランスシート調整の厳しさについて、もともと市場参加者や国際機関などよりもかなり慎重な見方をしており、本年の比較的最近までのやや楽観的な市場の見通しについては、多少、私どもの判断との間に距離感があると感じていました。」「私どもは、米国経済について、4月末の展望レポートや先月の中間評価では、その回復テンポが緩やかなものに止まるという慎重な見通しを持っており、現在の米国経済の姿は、こうした私どもの慎重な見通しに概ね沿ったものと考えています。」「日本銀行としては、日本経済について――もちろんリスク要因について注視する必要があることは言うまでもありませんが――こうした米国経済の慎重な見通しを前提として考えており、現在までのところ、展望レポートで示した標準的な見通しの枠の中で動いていると判断しています。次に、欧州経済についてです。・・・経済には、その時々の上昇・下降はもちろんあるわけですが、私どもとしては、米国同様欧州についても慎重にみています。」
(2)今回、8月30日の臨時会合後の総裁記者会見要旨
昨日30日午後2時半から行われた日銀の白川総裁の記者会見要旨(約50分間)
(@)米国と中国
「世界経済の回復と米国経済の関係についてですが、もちろん、米国経済は非常に大きな経済ですから、米国経済がしっかりと回復していくことが大事であることは言うまでもありません。ただ、米国経済について足許弱気の見通しが広がってはいますが、今回のバーナンキ議長の講演では、2011年の回復の条件自体は整っている、ということも言っています。このFRBの見通しが正しいかは現状わかりませんが、私どもとしては、下振れ方向のリスクを意識しながら状況をみていくことがよいと思っています。ただ、ご質問にあった中国経済をはじめとして、新興国は現在も力強い拡大を続けているとみています。中国については、春先以降、各種の政策措置によって一部の分野で若干減速している面もありますが、持続的な景気の拡大という観点からは、むしろ若干のスローダウンは望ましいのかなと思います。ただ、いずれにせよ、新興国の強さと足許の米国の弱さが、どのように相互に作用していくのかは、注意してみていきたいと思っています。」
(A)バブル崩壊後の経済調整の厳しさ
「ジャクソンホールで私自身が感じたことは、大きく言って
2つあります。1つは、経済の短期的な動きについてです。こちらは、米国経済についてお示しした判断にも反映されているとご理解頂きたいと思います。もう1つは、ジャクソンホールでの議論は1年に1回行いますので、この1年間の変化を改めて皆が確認して、その上で今自分達がどういうことを考えているのかを深く考察するよい機会になっています。1年前を考えますと、一昨年9月のリーマンショック後の大きな経済の落ち込みから抜け出して、世界経済は回復の方向に持ち直していました。その意味で、若干の安堵感が拡がっていたように思います。それから1年、今回は、ギリシャ危機をはじめとしてソブリンリスクの問題に直面し、米国経済も足許弱くなってきています。一方、先進国の政策金利は実質ゼロ、財政赤字も非常に高い数字で、政策対応余地も大きくはないという状況です。それだけに、本格回復軌道に乗るにはまだ時間がかかると、会議の参加者が実感していたように思います。バブル崩壊後の経済調整の厳しさを身を持って体験してきた当事者である私どもとしては、こうした事態を将来予測に織り込んでいます。ただ、そうした事態を体験していない人からすると、調整には時間がかかるということを、改めて重く受け止めているように思いました。会場の内外で、日本に関する質問を改めて多く受けました。それも、先程申し上げたような問題意識を反映しているのだと思いました。それだけに、例えば、バブル期の金融政策のあり方、あるいは金融危機発生後の異例な政策対応のあり方、規制・監督などについてしっかりと議論していく必要があります。つまり、中央銀行の基本的な政策思想についてもう1回、根源から考え直していく必要があることを皆が実感し始めていると私は受け止めました。」
(B)実質的なゼロ金利と市場機能
「日本銀行は金融緩和効果を最大限に発揮するために各種の資金供給手段を活用しながら、潤沢な資金供給を行っています。国債買入れについても、将来にわたって金融調節の対応力を確保しつつ、安定的なかたちで潤沢な資金を円滑に供給するという金融調節の観点から、大いに活用しています。日本銀行の買入れ額を、最近国債買入れを再開したFRBの買入れと比較すると、名目GDP比でみたフローの買入れ額は、日本銀行がFRBの約3倍となっています。残高ベースでみても、名目GDP対比で、日本銀行の買入残高は11.8%と、米国の5.3%のほぼ2倍となっています。日本銀行として、効果と副作用を考えた上で、国債の買入れについては現在の買入れ規模が最適であると判断しています。それから、誘導目標金利の引下げについても、効果と副作用を入念に点検しています。もちろん先々の政策ですから、予め特定の政策を排除するとか、念頭におくということはなく、予断なく点検していきますが、現時点での考え方を申し上げますと、現状実質的なゼロ金利という極めて低い金利水準となっているもとで、追加的な利下げが市場機能や金融機関行動に与える副作用についても十分見極めた上で判断していく必要があります。ジャクソンホールでのバーナンキ議長講演でも、短期金利をこれ以上引き下げると、多くの金融機関が短期金融市場から退出し、市場の流動性が大きく低下するとした上で、追加的な金利引き下げが、市場の機能を長期にわたって損ない、適切な金融政策を阻害する惧れがあると指摘されています。私は、かねてよりこうした問題の重要性について指摘していますけれども、当初はこのような問題についてあまり多くの理解があったわけではありませんので、ジャクソンホールでバーナンキ議長の講演を聴きながら、ある種の感慨を覚えました。」
(C)バブル崩壊後の米国経済の不透明感と下振れリスク
「大きな信用バブルが崩壊した後の経済の回復の姿について日本経済を例にみると、時間がかかりますし、少し良くなったといっても、それがまた後退するということを何度となく経験しました。結局、米国経済の抱えている不均衡、これは家計部門のバランスシートの問題もそうですが、この不均衡の大きさがどの程度かということについて、まだ明確にはわかっていないわけです。もちろん、事後的にはある程度わかるわけですが、そうしたことに関する不確実性がそもそもあるわけで、これは長い目でみた場合の不確実性です。それだけに、私どもとしては、ある特定のシナリオに固執するということではなく、経済データに即して点検していく姿勢が大事だと思っています。その意味で下振れリスクにより注意するという表現を使っています。」
≪データ/「ECRI」指数
(1)景気循環調査研究所(Economic Cycle Research Institute)
(2)週間景気先行指数(Weekly Leading Index; WLI)
(3)growth=年率換算の伸び率
8月28日(土曜日) 石油市場の現状分析
「市況研究社日報」(石油)第1790号
≪原油CIF
(1)9月の原油CIF予想=40,900円/KL
(@)原油コストは上昇=前月比 1ドル96セント高
(A)タンカーの海上運賃は下落
(B)為替=前月比 2円25銭の円高
(C)上記を勘案して、9月原油CIFは「8月CIF」から▲300円/KL程度下落。
(2)本年の原油CIFと「ガソリン卸の指標(円/リットル)」
※印は当社算定値
原油CIF 前月比
CIF+15,000 CIF+12,000
9月 40,900円/KL※ ▲300円 109.70 106.70
8月 41,200円/KL※ ▲1,570円 110.00 107.00
7月 42,770円/KL ▲2,970円 111.57 108.57
6月 45,740円/KL ▲3,989円 114.54 111.54
5月 49,729円/KL +3,229円 118.53 115.53
4月 46,500円/KL +3,118円 115.30 112.30
3月 43,382円/KL ▲1,387円 112.18 109.18
2月 44,769円/KL +62円 113.57 110.57
1月 44,707円/KL +556円 113.51 110.51
(3)原油コストについて
(@)中東原油スポットの指標
本船渡し(FOB) オマーン ドバイ 為替
8月積み ※ 74.65 ※ 74.35 1ドル=85.50円
7月積み 72.59 72.49 1ドル=87.75円
6月積み 74.18 73.99 1ドル=90.92円
5月積み 77.04 76.78 1ドル=91.69円
4月積み 83.67 83.59 1ドル=93.41円
3月積み 77.72 77.31 1ドル=90.52円
2月積み 73.92 73.48 1ドル=90.37円
1月積み 77.01 76.69 1ドル=91.22円
(A)東京原油8月限の最終決済価格について
週末時点の当社算定値(予想)
8月のドバイ原油のスポット価格 74ドル35セント
8月のオマーン原油のスポット価格 74ドル65セント
8月のドバイ及びオマーンの2油種平均 74ドル50セント
8月の東京仲値平均 1ドル=85円50銭
東京原油8月限の最終決済価格 40,060円/KL
(4)当社の立場と意見
(@)原油の月次コスト
ここ3カ月間の原油相場では、米ドル建ての本船渡し価格(FOB)は下げていない。米ドル建ての原油相場は、日々の動きでは上下に振ってくるが、基準となるマーカー原油のスポット価格の月間平均値で見れば、レンジ相場の範囲で推移してきた。わが国石油会社が最も多く購入しているサウジアラビアの「アラブエキストラ・ライト」(AXL)の本船渡し価格を算定した場合には・・・
AXL 8月積み(FOB) $75.300
AXL 7月積み(FOB) $73.189
AXL 6月積み(FOB) $75.432
(A)タンカーの運賃率と「為替」
原油の月次コストが、米ドル建てで上昇しても、わが国石油会社の購入原油価格は、(A)「タンカーの運賃率」と(B)「為替」が変動要因になる。(A)ワールド・スケール・レート(WSレート)のタンカー運賃率は7月以降、<50>前後に低下している。つまり、50%前後の運賃率で推移している。(B)為替(ドル円)は、8月相場で「1ドル=84円」の円高に進んだ。
(B)原油CIF予想
円貨/KL建ての「原油CIF」予想は、上記の(A)(B)によって押し下げられている。当社では「DMEオマーン」のスポット価格を中心に、中東原油を算定しているため、もう一度、月末の「プラッツ価格」で確かめることにします。
原油CIF 前月比
CIF+15,000 CIF+12,000
9月 40,900円/KL※ ▲300円 109.70 106.70
8月 41,200円/KL※ ▲1,570円 110.00 107.00
7月 42,770円/KL ▲2,970円 111.57 108.57
≪ガソリン
7月のガソリン販売は、前年比<+10%>近く増加したのではないかと推測します。本年6月、7月と、前年対比でガソリン販売が拡大し、8月も好調を維持している。しかも、各段階の価格から見て、マージンも十分に確保している。
(1)総務省「家計調査」
週末8月27日朝に総務省統計局から「7月家計調査」が発表された。全国二人以上の世帯の家計収支(=1世帯当たり1カ月間の支出金額、購入数量及び平均価格)にもとづく「全国平均価格」です。
(@)データ/全国二人以上の世帯のガソリン購入価格
(a)1カ月間の平均購入価格(消費税込み)
(b)石油情報センター価格には、現実的な意味はありません
(c)※印は、当社推定値
総務省「家計調査」
石油情報センター
ガソリン購入価格 前月比
月次10日調査価格
8月(10) ※ 127-126円/L 134 円/L
7月(10) 129.89 円/L ▲2.44円 136 円/L
6月(10) 132.33 円/L ▲2.04円 138 円/L
5月(10) 134.37 円/L +4.05円 139 円/L
4月(10) 130.32 円/L +4.45円 133 円/L
3月(10) 125.87 円/L +2.18円 130 円/L
2月(10) 123.69 円/L +1.91円 129 円/L
1月(10) 121.78 円/L +0.91円 126 円/L
12月(09) 120.87 円/L ▲0.44円 127 円/L
11月(09) 121.31 円/L ▲1.48円 127 円/L
10月(09) 122.79 円/L ▲1.63円 129 円/L
9月(09) 124.42 円/L +2.85円 129 円/L
8月(09) 121.57 円/L +0.58円 126 円/L
7月(09) 120.99 円/L +3.45円 125 円/L
(A)ガソリン購入数量=6月から7月販売が拡大
(a)原データは、総務省「家計調査」
(b)当社独自に調整して「販売数量」の指標を作成
(c)6月から7月のガソリン販売が好調
(d)8月も好調を持続している可能性が高い
全国消費世帯のガソリン購入量
H.22
H.21 H.20 H.19 H.18 H.17 H.16
2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004
12月 78.36 85.00 79.69 85.59 84.91 83.05
11月 74.33 81.93 75.54 80.58 79.41 79.78
10月 74.53 76.10 77.94 79.03 81.21 83.08
9月 74.48 74.66 79.32 79.63 82.65
83.27
8月 83.11 77.55 84.87 88.12 89.48
89.77
7月 80.57 76.31 72.22 79.21 82.83 82.72 86.28
6月 73.74 71.18 69.69 76.17 77.61 81.54 79.42
5月 76.85 76.26 71.76 77.57 80.58 80.58 85.85
4月 73.36 74.29 85.93 79.31 80.44 77.44 82.04
3月 76.36 77.14 72.09 79.69 81.08 81.50 87.67
2月 70.62 73.15 74.43 76.98 75.40 78.36 82.27
1月 74.21 79.99 76.74 81.16 82.46 79.14 83.96
≪週明け8月30日(月曜日)の中東原油
週末8月27日(金曜日)終値を基準にして、週明け8月30日(月曜日)の基準値を算定します。したがって、もう一度、週明けの為替等で再計算する必要があります。週末時点で大雑把に試算すると「+1,300円高」見当。
(1)30日(月曜日)の原油市場
(@)国際原油取引の基準はICEブレント10月限
(A)為替は「1ドル=85.24円」で計算
(B)週末27日の帳入値段から「+1,300円高」あたり
(C)当社算定値=週明け30日前場寄り付きの中東原油スポットの目安
東京原油 08月限 $74.55 39,970
/KL
東京原油 09月限 $75.00 40,210 /KL +1,300
東京原油 10月限 $75.50 40,470 /KL +1,270
東京原油 11月限 $76.00 40,740 /KL +1,290
東京原油 12月限 $76.50 41,010 /KL +1,300
東京原油 01月限 $77.08 41,320 /KL +1,300
(2)購入原油価格(FOB)と「輸入CIF価格」(当社予想)
わが国石油会社の購入原油価格の予想
(@)プラッツ価格と若干の違いがあります。
(A)為替は東京仲値(三菱東京UFJ銀行)
(B)あくまで当社の便宜的な算定値です。
(C)タンカー運賃が下落したため、遡って修正を加えています。
(D)週末のシンガポール終値時点からは「+1,540円高」
中東原油のFOB価格 為替
原油CIF価格(予想)
※省略
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